夜尿症
夜尿症とは
幼児期の夜尿を「おねしょ」と言いますが、幼児期を過ぎて5~6歳以後になっても夜間睡眠中に無意識に排尿することを夜尿症と言います。夜尿症は10~20人に1人いると言われており、本人は人知れず悩み、自信まで無くしていることも多くあります。
夜尿症の原因は大きく分けて、「夜間尿量の増加」と「夜間膀胱容量の減少」の二つです。すなわち、夜、寝ている間のおしっこの量が普通より多過ぎるか(抗利尿ホルモンの夜間分泌不足)、夜、寝ている間に膀胱に貯められるおしっこの量が普通より少な過ぎるか(不安定膀胱)、あるいはその両方ということです。
夜尿症は継続的な治療を行えば、頻度を減らしたり、治療を受けない場合よりも早く夜尿が解消したりすることが期待できます。
治療について
治療としては、夜間尿量を減らすこと、および夜間膀胱容量を増やすこと、ということであります。 前者には、「抗利尿ホルモン」が有効であり、後者には、「夜尿アラーム*」「抗コリン剤」などが有効です。
なお、頻度は少ないのですが、夜尿症のなかには膀胱や腎臓などの器質的(形態的)な異常が原因となっていることもあります。昼間もおもらしをするような場合(昼間遺尿症)は、夜尿だけの子どもに比べて器質的な異常が多いことが知られています。
*夜尿アラーム:尿が出ると電子音で知らせる装置です。睡眠中の膀胱容量を増やし、尿意により起きやすくする効果があります。
夜尿症治療の三原則
夜尿症治療の三原則は、下記の三つです。
焦ったからといって、それだけ早く治るというものではありませんし、夜尿は寝ている間にお子様の意思とは無関係に生じるものですから怒ってどうにかなるものでもありません。むしろ、ストレスがかかって、治るのが遅れる原因になることさえあります。また、夜中にむやみに起こすのは睡眠リズムを崩す原因になりますし、熟睡を妨げるため、お子様の成長にとっても好ましくありません(医師が治療として夜尿アラームを一定期間用いる場合を除きます)。
現在は、昔と違って、夜尿症に有効な治療法がありますので、生活指導および適切な治療を受ければ、早く治せます。治療によって症状が改善すると、自分に自信がもてるようになり、性格的にもみるみる明るくなっていくことが多いものです。