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あずまがわ小児科クリニックブログ

離乳食、補完食、Baby-Led Weaning (BLW)

2021年4月25日        

日本で最初に定められた離乳の指針は1958年の「離乳基本案」でありました。離乳期の栄養・発育障害、腸炎などによる乳幼児死亡の状況を改善すべく、小児科医が総力を挙げて作成したものです。繰り返し改訂されましたが、離乳食の食品の順序と調理形態が重視され、母乳で不足するカロリーと栄養素を補う食事であるという「補完食」の視点に欠けていたようでした。

2019年には「授乳・離乳の支援ガイド」改訂版が作成されましたが、問題点も残っているようです。ガイドに記載されている離乳食の順番に明確な科学的根拠がない。養育者からの視点からは、順序通りに食べないと先に進まない、調味料は必要ないと記載されているので味をつけてはいけないと解釈する人もいるようです。湿疹がある場合や食物アレルギーの診断がされている場合、原因食物の摂取を遅らせたほうがよいと読みとる家族もいる可能性がある。食物アレルギーがあっても食べられる範囲で続け、体を慣らしていくというのが最近の流れであるにもかかわらずである。また市販のベビーフードやフォローアップミルクにも問題点があるにもかかわらず詳細が記載されておらず、育児雑誌では推奨されるような宣伝がなされているという。

Baby-Led Weaning (BLW)という聞きなれない言葉が在ります。子どもが自分で食べる力を生かして家庭の食事を食べすすめるための離乳食アプローチなんです。歩き出すことに関して何か月から歩き出しましょうとは言わないのに、食事については5-6か月になったら開始しましょう、というのは変でしょう?家族一緒に食卓を囲み食べる準備が整ったら手づかみで食事を楽しみましょう、というものらしいです。

日本外来小児科学会の雑誌に特集がありました。10倍がゆから始まる昔ながらの離乳食が必ずしも正解ではなく、市販のベビーフードやフォローアップミルクにも問題点があることが分かりました。BLWは画期的だなあとも思いましたが、これを実践できない家庭もあるのではないかと思いました。離乳食は母乳栄養では足りなくなってくる5-6か月頃に、鉄やビタミンDをはじめとして補う-補完食-であり、いろんなものを自由に食べはじめる手段でもあり、食物アレルギーは心配でもこの時期からいろいろ食べ始めないと後々アレルギーの心配がありますよ、ということで少しずつ試していったらよいのです。なので、10倍かゆから始めてもよいのですが、おいしくしてあげないと赤ちゃんは食べないし、自分で口の周りをべとべとにして、足元には食べ散らかした食材がいっぱいこぼれるのもよしとして、そんな暇のないときはベビーフードやミルクで手抜きをするなど、いいとこどりで育児をすすめていったらよいのではと思ったのでした。

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