第26回トゥレット研究会
2019年11月25日東大附属病院で研究会がありました。
・トゥレット症候群「飛び上がる」チックの臨床的検討
重症度の高い傾向があり、服薬を要した症例も多かったとのこと。当院でも経験しましたが、症状改善してよかったです。
・Tourette syndrome(TS)のチックに対する歯科スプリントの治療成績と今後の研究
大阪大学歯学部障害者歯科治療部に歯科スプリント作成目的で紹介させていただいています。歯科スプリントを装着し咬みこむことにより、筋紡錘からの刺激が島皮質に達し前駆症状を抑えるとのことです。64%の患者さんでチックが減少したとのこと。装着すると効果のある人ではすぐに抑制されているそうです。しかし、当院でも最初の1か月抑制されたけど、その後、再発された患者さんもおられました。残りの36%の患者さんとの違いは何だろうという疑問があります。舌圧子を咬みこむことでも反応はえられるので、あらかじめそのような反応を確認してからご紹介するのもよいかもしれません。
・チック症モデルマウスにおける一次運動野神経活動解析
マウスの大脳基底核 線条体にGABAA受容体拮抗薬(ビキュキュリン)を注入することによりチックが発症するようです。もしそうならGABA増強する薬剤(バルプロ酸その他)を投与したらどうなのだろう?
・舌咬傷を伴うトゥレット症候群に対する行動分析とその介入
九州大学からの報告ですが非常に大変な患者さんでした。大地震を経験したのちに死ぬのではないかという不安を打ち消すために「チック」に没頭し始めたとのこと。患者さんに疾患について理解してもらい(疾患教育)、行動分析したのちに気づきを意識してもらい咬舌を息こらえに代替したというものでした。服薬とともに認知行動療法の重要性を再認識しました。
・重症トゥレット症候群に対する脳深部刺激部位とパラメーター
パーキンソン病などには脳深部刺激療法(DBS)が行われていますが、トゥレット症候群に対するDBSはまだ手探りな部分が多いとのこと。福岡大学脳神経外科では12歳から39歳の5人の患者さんにDBSを施行されています。全症例において症状緩和が認められていますが、細部については今後も検討を積み重ねる必要がありそうです。
今回も非常に有益な情報が得られました。